労働災害 踏み込み足りぬ改善策

検察が労働基準法違反の罪で法人の電通を略式起訴した。

 幹部個々については刑事罰を科す事情は見いだせなかったとし、起訴猶予とした。24歳だった新入社員が過酷な労働を強いられ、自ら命を絶った違法残業事件の捜査は終結した。

 仕事が原因でうつ病などの精神疾患にかかり、昨年度に労災認定されたのは498件で過去最多となっている。未遂を含む過労自殺が84件、脳や心臓の疾患による過労死は107件に上った。

 政府は3月、働き方改革実行計画をまとめた。残業時間の規制や正社員と非正規労働者の同一労働同一賃金を柱とするものの、内容や実効性には疑問が残る。

 関連法の改定案が次の臨時国会に提出される見通しだ。国会審議を通じ、より踏み込んだ改善策を打ち出す必要がある。「私たちで最後にしてほしい」との過労死遺族の思いをくみ取りたい。

 実行計画に盛られた残業時間の上限は、「月100時間未満、2〜6カ月の平均は80時間以内」となっている。残業を当たり前とすること自体おかしいのに、労災認定の「過労死ライン」に相当する。サービス残業や過少申告の問題が増えないか、心配だ。

 トラックやタクシーなどの運転手の上限は、他の職種の年720時間を上回る960時間。医師や建設業とともに、適用の時期が5年間も猶予された。

 昨年度の労災認定では、運転手の脳や心臓の疾患、医療関係者の精神疾患が目立った。改革の先送りは納得し難い。

 同一労働同一賃金は良しとしても、中小企業の認識や労務管理が行き届くのか、との指摘がある。非正規労働者の正社員化を促す新たな施策も見当たらない。

 計画は全体に実現への手段が乏しく、企業と労働組合に委ねた感が強い。国会で残業規制のあり方を審議し直し、特に中小企業への支援策も検討してほしい。

 安倍政権は、高収入の専門職を残業代の支払い対象から外し、「定額働かせ放題」と言われる裁量労働制の対象業種を広げる法案も国会に提出している。不当解雇を職場復帰ではなく金銭で解決できる制度も検討されている。

 どうもちぐはぐだ。これでは労働者の不安は拭えない。

 今年1月1日時点の人口動態調査で、1年間の人口減少数が初めて30万人を超えた。働き過ぎは少子化の一因だ。流れを抑えるためにも、働く者の側に立った労働政策の徹底が求められる。

(7月10日)信濃毎日新聞

タクシー業界の長時間労働があと五年(実質7年)で出来なくなりますが、短時間でサクッと仕事が出来る世の中になるといいですね。

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